就労問題と医療機関の現状

看護師の仕事は笑顔が絶えず、患者の心の支えにもなる、白衣の天使のイメージを持っている人が少なくないだろう。しかし、慢性的な人手不足から常に時間に追われ、十分な休息を取ることも困難な状態に置かれているのが現状だ。
また、仕事の性質上、患者の体を支えることも多い。肩や腰に大きな負担がかかってしまうのが、仕事が過酷になる要因の1つだ。そのうえ、医療機関では汚物の処理や危険な医療廃棄物を分別する場合もあり、心身の健康が大きく損なわれる恐れもある。
だが、人手不足を理由に十分なケアを受けられないことも多く、それがさらに離職率を上げる要因となっているのだ。そのため、産業看護師のように、医療行為を行う機会がほとんどない業種へ転職するケースも増えている。

看護師の仕事は少人数で回すことが常態化しており、一人当たりの仕事量が非常に多い。医療機関での勤務形態は、日時に関係ないシフト制がほとんどで、十分な休息を得るのが困難だ。
さらに、急なシフトの変更で、休みが潰れてしまうケースも珍しくない。昼夜に関係なく緊張を強いられる環境に居続けるのは、重大な健康被害につながる可能性があるだろう。そうしたことから、若いうちに看護師を辞める人もいる。
人手不足を解消する目的で、待遇を改善する医療機関が増えているが、さらに待遇がいい他業界で働く看護師も増加傾向にあるのが実情だ。そうした状況が続いていることから、医療機関の人手不足は解消には至っていない。